2011年2月16日水曜日

野生の詩

こんにちは。
ピアノソリメンバーの藤枝有紀子です。
今回の演奏会では、
ヴィラ=ロボス作曲『野生の詩』を演奏いたします♪

曲目解説は、当日のプログラムをご覧いただくとして、
ブログでは、この作品と私との
『個人的関係』を綴ることにいたしました。

ヴィラ=ロボスのピアノ曲には、
お世話になっていたピアノの先生を通して、
小学生の頃から親しむ機会がありました。
ただ、ブラジルの代表的作曲家とはいえ、
まだまだ彼の作品が演奏会で取り上げられる回数も、
入手できる録音も非常に少なく、
門下生の発表会や先生のリサイタルでしか、
耳にする機会はなかったため、
子どもなりに
『他にどんな曲があるのだろうか?』と思ってはいたのですが…

『野生の詩』を初めて聴いたのは、音楽大学の図書館。
オーディオコーナーで見つけた
『ヴィラ=ロボス・ピアノ曲全集』
というレコード(!)を通してでした。

それまで聴いたことのなかった種類の音楽で、
その圧倒的なパワーに驚くばかり…。
すぐに楽譜を借りて眺めてみましたが、
当時の自分では『解読不能』と判断し、
いつか弾きたい曲として、心に留めておくことに…。

それから10年近く経過して、
この曲の生演奏と出会ったのは、
留学中だったデュッセルドルフ音楽大学のホール。
私の担当教授でもあったロベルト・シドン氏による演奏でした。
ピアノという楽器を鳴らしきった
迫力のある演奏に度肝を抜かれ、
録音での出会いの印象も
吹き飛ぶ勢いだったと記憶しています。

そして、長い片思いの末、
ようやくこの作品を『自分で演奏する』ことになったのは、2009年。
日本でのリサイタルのお話をいただいたことが契機となりました。

暴力的とも思えるほどの音の積み重ねや、
密林を思わせるような音響など、
様々な要素が交錯するこの作品とは、約1年半ぶりの再会です。
『野生児』を自認していたという
ヴィラ=ロボスの世界、あなたも体験してみませんか?

テーマと変奏

こんにちは!梅谷初と申します。
今回のピアノソリの演奏会では、
フランシス・プーランクの「テーマと変奏」
を演奏する予定です。

プーランクはたくさんの歌曲の名曲を残しており、
その中から過去に、
「動物詩集」、「メタモルフォゼ」、「バナリテ」
に取り組んだことがあり、
親しみやすい旋律と、その軽やかさが大好きで、
いつかピアノソロを演奏する機会を
持ちたいと思ってきました。

プーランクといえば、西洋音楽史では、
オーリック、オネゲル、ミヨーなどとひとくくりにされ、
「フランス6人組」のひとりとして
一般的に認知される作曲家ですね。

作風には、サティや、ストラヴィンスキーの影響が強く見られ、
フランス的伝統に従いながら、
プーランク節とでも言えるような、
非常にユニークな個性があって、
まるでパレットをひっくり返したような、
にぎやかな色彩感覚と、
軽妙洒脱という四文字熟語がぴったりお似合いの
ユーモア、そして、メランコリ。。。。

このサロン的な明るさ、後味の残らない軽さとは対照的に、
親しい友人を交通事故で亡くしたことから、
信仰心を篤くし、
多くの宗教曲を残してもいます。
第二次大戦中は、作曲によるレジスタンス活動も行い、
戦後は多くの演奏活動に励みました。
1963年に心臓麻痺のために64歳の生涯を閉じました。

さて、今回演奏するテーマと変奏は、
変イ長調の古典的なテーマで幕を開け、
10の変奏でさまざまな調とテンポ、
気分(喜び、メランコリック、皮肉、情感、おしゃべりなど)
をころころと変えながら、
フィナーレへと進んでいきます。
たくさんの顔を持つ、
多重人格者みたい??

でも、誰もがみんな、気がつかないうちに、
色々な場所、場面で、
いろんな自分を
使い分けているのかもしれないですね!

この分裂気質、そして、
それをどんな場面においても、
フランス風エスプリたっぷりに表現するプーランク、
をしっかり味わい、体験したいと思います。

夜のガスパール

今回、ラヴェル作曲、
夜のガスパールを演奏する江藤早織です。

ラヴェルは、ドビュッシーと共に
フランス印象派を代表する作曲家。

ラヴェルといえば、
管弦楽曲“ボレロ”や
ムソルグスキーの“展覧会の絵“の
オーケストレーションで
よく知られていますね~。
自分で曲を作曲するだけでなく、
他人の曲をオーケストラバージョンに
編曲するのが得意な人でもありました。

ラヴェル自身、
技巧派のピアニストでもあり、
当時、最難曲と言われていた
バラキレフ作曲の“イスラメイ”に対抗し、
もっと難しい曲を作ると誓言して
作曲されたのが、この“夜のガスパール”。

フランスの詩人、ベルトランの散文詩から
3つの詩をモチーフに(オンディーヌ、絞首台、スカルボ)
書かれた夢幻性にあふれ、
夜の怪奇な雰囲気を見事に表現した曲です。

(超短縮版でプログラムに詩を記載しています。)

“ガスパール“とは、悪魔のこと。

第1曲、オンディーヌ(水の精)。

ラヴェルは、水を音楽で表現するのが得意であった。
さざ波を表す32分音符に、
何とも言えぬ美しいゆったりとしたオンディーヌの旋律。

時にはゆったり、時には激しく。

第2曲、絞首台。

終始一貫してなり続ける変ロの音。

絞首台にぶら下がった死体が
夕日に赤々と浴びせられている。
夜風、罪人の溜息、町に響く鐘の音・・
なんとも薄気味悪い曲。

第3曲目、スカルボ。

不気味な悪霊が
一本足できりきりと飛び回る様が、
激しいリズムの刻みで想像される。
この“スカルボ“は、
まさにピアニスト泣かせの超絶技巧曲で、
この曲を弾きこなすのは至難の業。

この不気味で奇妙な“夜のガスパール“ですが、
内容的にも技術的にも、かなり深い曲です。
どこまで、奇妙さを表現できるか・・・
ピアニストとして、
一生の課題となるレパートリーの1曲です。

月光ソナタ op27-2

「あっ、この曲なら知ってる!」
ピアノ曲をよく知らない人でもそう言うほど、
ベートーヴェンソナタの中でも
人気の高い、「月光ソナタ」です。

しかしこれは作曲者が付けた名ではなく、
後に詩人のレルシュターブが第1楽章について
「ルツェルン湖の月光の波に浮かぶ小舟のよう」
とコメントしたことが名前の発端になりました。

ベートーヴェンはこの曲を、
ピアノソナタ13番とともに、
「幻想曲風に」と名付けています。

高貴な身分の女性ばかりを
恋したというベートーヴェンは、
この曲を17歳の弟子の
ジュリエッタ・グイチャルディ伯爵令嬢に捧げました。

この曲を初めて弾いたのは、
高校の時のピアノのテスト。

最近ベートーヴェンから
遠ざかっていたので、
久しぶりにまた弾きたくなりました。

新しい曲をする時間もなかなか取れず、
昔やったものを・・・
と引っ張り出したのがこれです。

やはり、ベートーヴェンは素晴らしい、
不滅だ!!と再確認しております。

幻想的な1楽章に始まり、
スケルツォ風な2楽章、
激情が迸る終楽章。

誰にでも分かりやすく、
芸術的にも完璧な
このソナタをお楽しみいただけたら幸いです。

ヴァラーシュタイン・西原典恵

2011年2月9日水曜日

2011年、第一回目のコンサートのお知らせ



記録的な大雪を更新した昨年を通り過ぎて、
すっかり冬らしい毎日に
馴染んでいたこの頃でしたね。

それがここ数日、まるで神様からの贈り物のように
優しく明るい日差しの春日和が続いています。
自転車で風を切って、はな唄でも歌いたくなるような
気持ちよい日々です♪

このままというのは、まず、
2月の始めのこの時期のドイツで
望むべきことでもないでしょうから
少しでも、冬に逆戻りの日が遠のくと良いですね。

勘違いして芽吹いてきてしまった、花の芽たちが
驚きすぎて、命を落としたりしませんように。

さて、きょうは
今年第一弾のPIANOSOLIの定期演奏会
のお知らせに参上しました。

2011年のPIANOSOLIは2回のコンサートを
予定しています。今回はその第一回目。
(ちなみに第二回目は、フランツ・リスト生誕200年
を祝うコンサートで10月(詳しい日程は未定)開催予定です)

今回のコンサートでは自由なテーマにより
各ピアニストが弾きたい曲目を選び
演奏するスタイルでお届けします。
ぜひ、足をお運び下さい!

プログラム、場所などは以下の通り。
<プログラム>
ルードヴィヒ・ファン・ベートーベン作曲
「月光」ソナタ OP.27-2

モーリス・ラヴェル作曲
夜のガスパール

フランシス・プーランク作曲
テーマとバリエーション

エイトル・ヴィラ・ロボス作曲
野生の詩


<場所、日時>
Stilwerk内 Stilwerk forum(ベヒシュタイン近接のホール)
Grünstr.15 Düsseldorf
2011年 2月27日(日) 15時開演
協力:C・ベヒシュタイン

*ピアノソリのコンサート活動は皆様の寄付によって
成り立っております。ご協力に感謝致します。

次回からの記事では各メンバーが
それぞれの演奏曲目についてのコメントを
掲載いたしますので、乞うご期待!