2016年2月25日木曜日

先日のコンサートの御礼とご挨拶 Vielen Dank!! "Berichte vom letzten Konzert"

Liebe PIANOSOLI  Freunde,

draussen ist es kalt, grau und stürmisch. Auf den echten Frühling müssen wir wohl noch ein wenig warten.
Trotzdem werden die Tage aber schon länger und heller und der Winter geht langsam zu Ende.
In dieser kalten Jahreszeit haben wir am 20.02.2016 noch einmal ein Konzert gegeben. 


Das Konzert hatte das  Thema
"Transkriptionen für Klavier".
Transkriptionen sind Werke, die extra für andere Instrumente umgeschrieben wurden.

Wir spielten die Klavierwerke von Schubert-Liszt,
Schubert-Godowsky,Schumann-Liszt,Bach-Liszt,
Bach-Busoni,Kreisler-Rachmaninoff,Rimsky-Korsakov,
Prokofiev und Ravel.

Diesmal kamen ca. 60 Besucher. Von ihnen haben wir viele gute Rückmeldungen bekommen, wie so oft.
z.Bs "Es war sehr interessant, wir wollen unbedingt nächstes Mal
wieder dabei sein". "Es war ein Genuss!" oder "wir drücken die Daumen, damit Ihre Konzerte weiter noch erfolgreicher werden" und "das hat uns richtig Spaß gemacht in einem Konzert so viele unterschiedliche Pianisten unter einem Thema hören zu können" usw.
Wir freuen uns natürlich über die vielen positiven Kommentare und sind aber immer für alle Rückmeldungen offen und dankbar. Auch wenn es mal kritischer sein sollte. 
Nutzen Sie dazu doch einfach unsere Mailadresse
und besuchen Sie wieder bitte unseren Blog.

Unsere Konzerte sind aus unserer eigenen Initiative heraus entstanden. Das eigentliche Konzept war, dass wir eine Art 
"Öffentliches Training" veranstalten und deshalb auch keinen Eintritt verlangen. Der freie Eintritt ist geblieben, umso mehr freuen wir uns über die Unterstützung von der Firma Bechstein. Und die vielen Spenden unseres Publikums, die am Ende die Konzertreihe ermöglichen. 

Wir glauben an diese ungewöhnliche Form des Konzertes, fünf Pianisten auf einmal trifft man sonst selten an. Die Möglichkeit Klavierinterpretationen von so vielen unterschiedlichen Pianisten hören zu können ist schon ein bisschen einzigartig.

Wir lieben diese Form der Zusammenarbeit und treiben sie weiter voran. 
Natürlich würden wir uns sehr freuen, wenn Sie weiter dabei sind und uns durch Ihre Unterstützung ermutigen in unserer Arbeit fortzufahren.

Bleiben Sie uns verbunden, wir freuen uns auf ein nächstes Mal.

Herzliche Grüße 
Ihr PIANOSOLI



「2月20日のコンサートによせて、御礼とご挨拶」
暖冬かと思いきや、また少し寒が戻ってきていてまだまだ寒い日々が続きそうな今日このごろ、皆様にはいかがお過ごしでしょうか。
先日、2月20日、今年のPIANOSOLIのコンサートを無事に終えることができました。お越しになったお客様方に御礼を申し上げます。
テーマは、「ピアノの為の編曲作品」
シューベルト-リスト、シューベルト-ゴドフスキ、シューマン-リスト、バッハ-リスト、バッハ-ブゾーニ、クライスラー-ラフマニノフ、そしてリムスキー コルサコフ、ラヴェル、プロコフィエフの作品が演奏されました。
この度も、60人ほどのお客様に来て頂き、沢山の良きご感想も頂き(とても興味深かった、また是非来たい)(一気に何人ものピアニストの演奏を聴くのが楽しい、これからも、是非、頑張って欲しい。応援している。)等々
まずまず、成功と言えるコンサートになったかと思います。
わたしたちの演奏会の始まりのコンセプトは、自己トレ、自分たちのためのトレーニングを公開で行う、という意図の下、BECHSTEINさん、stilwerkさんのご協力の下、ここまで、入場料を取らずお客様にもSPENDEでご支援頂く形で続けて来ました。
そういう経緯はありますが、定期的にピアニスト5人が集まってなかなか巷でも見ることのない試みをしているという自負もあります。
プロフェッショナルに、最大限にできることを実現して、おもしろく、楽しめる演奏会を発信していけるように、これからも日々、精進、発展していきたいと思っております。
皆様の応援の声、また、ご批判にもPIANOSOLIはできる限り、声を傾け良くしていく準備がございます。
忌憚のない御意見、ご感想、お待ちしております。
メール pianosoligooglemail.com
PIANOSOLIを今後とも、よろしくお願い致します。
PIANOSOLI一同

2016年2月11日木曜日

"Transkriptionen fuer Klavier" Einladung zum naechsten Konzert 次回コンサートのお知らせ


風が強く、雨の日もまだまだ多く、春にはもう少し辛抱のこの季節、
PIANOSOLIのコンサートの季節がまた、巡って参りました。
ここ数年、このリズムで初春にコンサートを開催して来て
徐々にこのような心持が定着して来た様な気がしております。
皆様にもそういう風に思って頂けているとうれしいのですが、、、。

さて、長い前置きはなしにして、
早速、今年のPIANOSOLIのコンサートのお知らせです。

今年のテーマは、編曲されたピアノ曲たち、
題して、「Transkriptionen fuer Klavier」 です。

作曲家であり、演奏者であったヴィルトゥオーゾ達が、
主に自身が演奏するために、オーケストラや、オペラ作品などを中心に
多くの編曲作品がさかんに作られた時代がありました。
フランツ・リストなどが活躍した19世紀の作曲家達が主だった顔ぶれです。

今回のPIANOSOLIのコンサートでも、
それぞれが、テーマに沿って弾きたい曲を集めました。
恒例の、このブログだけで見ることのできる、曲目解説も
もれなくございますので、コンサートにいらっしゃる前に是非、
一度目を通して、併せて楽しんでいただけたらと存じます。


PIANOSOLI一同、
みなさまと再会できます、この音楽のひと時を
楽しみに、心待ちにしております。
ぜひ会場でお逢いしましょう!

草々
PIANOSOLI

プログラム、期日などは以下の通り。
2016日 土曜日
170分 開場 18時 開演
stilwerk forum (地下一階 ベヒシュタイン脇のホール)
最寄り駅 Königsallee/Steinstr
入場無料
(今後の活動の為に当日、募金箱を設置しております。
皆様のご協力に感謝いたします。)
協力、後援:べヒシュタイン・デュッセルドルフstilwerk
演奏:ピアノソリ
(梅谷初、ヴァラーシュタイン西原典恵、
ロベルタ・プラータ・クレーメンス、滝村乃絵子、藤枝有紀子) *あいうえお順

Das Konzert von PIANOSOLI
"Transkriptionnen für Klavier"

am Samsutag 20.Februar.2015
um17Uhr30 Einlass 
um18Uhr00 Konzertbeginn

stilwerk forum (Untergeschoß)
Grünstr.15 40212 Düsseldorf

Freundlichen Unterstuetzung von C.Bechstein Düsseldorf und stilwerk
(Der Eintritt ist frei.Wir freuen uns als Musiker aber
über eine kleine Spende wenn Ihnen die Musik gefällt.
Sie unterstützen uns damit für zukünftige Projekt.
vielen Dank.)

Am Fluegel:PIANOSOLI
Das Programm
J.S.Bach-F.Liszt Fantasie und Fuge g-Moll BWV542

Prokofiev Aus"Romeo und Julia -Zehn Stücke für Klavier-" OP.75 "Tanz des Volkes" Nr. 1, "Das Mädchen Julia" Nr.4 ,"Die Montague und Capuletes" Nr. 6
J.S.Bach-F.Liszt Prelude und Fuge a-Moll BWV543
M.Ravel „La Valse“-Poème choréographique pour orchestra

----pause---

Rimsky-Korsakow aus „Sheherezade“
Das Meer und Sindbads Schiff
Schumann-Liszt Widmung
Schubert-Godowsky Die Forelle
Schubert-Liszt Ave Maria

F.Kreisler - S.Rachmaninoff „Liebesfreud“

J.S.Bach-Busoni Chaconne




J・S・Bach-Liszt : "Prelude und Fuga" a-Moll BWV543 ロベルタ・プラータ・クレーメンス

Bach  war lange Zeit in Vergessenheit geraten, als Liszt 1855
erstmals wieder Bachs Orgelmusik aufführte und so dem Publikum 
seiner Zeit nahebrachte. 
Allerdings spielte er sie nicht   im Original,
sondern als romantische Orgelbearbeitung mit orchestralem Klang.
Später transkribierte er diese Musik auch für das Klavier.
So veröffentlichte er Bachs Orgelmusik und fügte einen zweiten Band hinzu 
mit sechs Präludien und Fugen, gesetzt für Pianoforte zu zwei Händen.
Diese Transkriptionen inspirierten Generationen von Pianisten und Komponiesten.
Liszt hielt sich im Wesentlichen an den Originaltext, verdoppelte 
aber die Bassnoten, um Orgelklang und lange Haltetöne zu imitieren.
Im Zuge der Historischen Aufführungspraxis vermied man es eine Zeit lang, 
diese Transkriptionen zu spielen. Heute aber sieht man in diesen Werken eine
gelungene Symbiose von Barock und Romantik, die ihren eigenen künstlerischen
Stellenwert haben.

Roberta Plata Clemens

バッハの音楽が長い間忘れ去られていたところ、
1855年になってリストが彼のオルガン曲を初めて演奏し、
聴衆に当時の音楽を広めた。

リストは原曲を演奏したのではなく、
オルガンのための編曲版を作曲し、
それはオーケストラ的な音色を持つロマン派の作品であった。

後にリストはこの曲もピアノ用に編曲している。
このようにしてリストはバッハのオルガン曲を公開し、
さらに第2巻として「ピアノ2手のための6つの前奏曲とフーガ」
を付け加えた。

これらの編曲版はピアニストと作曲家の世代を感じさせるものがあった。

リストは根本的に原曲に忠実に従っているが、オルガンの響き、
持続音を模倣するために低音を2倍にしている。

原作への忠実さを実現しようとする潮流の中で、
一時期にこれらの編曲を演奏することが避けられたが、
今日では作品の中に芸術的に相対するバロックと
ロマン派音楽の効果的な共生を認識するようになった。

日本語訳 滝村乃絵子

J・S・Bach-Liszt:"Fantasie und Fuga"G-Dur BWV542  ヴァラーシュタイン西原典恵

J.S.バッハ「幻想曲とフーガ ト短調 BWV542」

F・リスト編曲

中3頃だったと思いますが、
ふとした時にバッハのオルガン曲の入ったカセットを買いました。
バッハが好きだった私は(何が弾きたい?と聞かれては
バッハと答えていたことを覚えています)たちまちハマってしまいました。
パイプオルガンの大音響に癒され、風邪を引いて学校を休んだ時も
ベッドの中にウォークマンを持ち込んで聴き、不思議と熱の苦しさから解放されるようでした。

ピアノでも弾けたらいいなと思って、
G-mollの4声のフーガをカセットで繰り返し聴いては
五線譜に音符を綴ってみましたが、聴き取れたのはせいぜい3声の途中まで。
その後は音が増え、残響やらで聴き取れず、、、
残念だけどそれで終わってしまいました。

何十年が経ち、そんなこともすっかり忘れた頃、
リストによるピアノのための編曲版があることを知りました。
リストは手を加えず、原曲に忠実に再現しています。
あらためて聴いて、この幻想曲とフーガ、やはり最高傑作だと思います。
練習していてもけっして飽きが来ません。
当時ハマってしまった自分が再び蘇ったよう。
そんな新鮮な気持ちで当日のコンサートを迎えられればいいなと思っています。

幻想曲は、不協和音などによる痛烈な表現がなされ、
即興性に富んだパッセージが至る所に現れます。
1720年35歳で一人目の妻を失った苦悩の表れともいえます。
フーガのテーマはオランダの当時よく知られていたメロディから取られており、
バッハは聖ヤコビ教会でのオルガン職のためのオーディションを受けた時、
試験管としていたオランダの有名なオルガン奏者ラインケンの前で
敬意を表しこの曲を演奏しました。

演奏は素晴らしかったものの、献金しなかったことで
このオーディションには落ちてしまったそうですが・・・。

4声で構成されている長大なフーガは、
同じ調性である「小フーガ ト短調」に比べて「大フーガ」と呼ばれています。
バッハのオルガン曲の最高傑作の一つ。どうぞお楽しみください。


ヴァラ―シュタイン西原典恵

Kreisler-Rachmaninoff: "Liebesfreude"  ヴァラーシュタイン西原典恵

クライスラー「愛の喜び」-ラフマニノフ編曲

クライスラーの有名なヴァイオリン曲「愛の悲しみ」と
「愛の喜び」の2曲のうち、
今回は「愛の喜び」を演奏します。

クライスラーとラフマニノフはほぼ同年代で、

マネージャーが同じであったこともあり親交を深めました。
2人はグリーグのヴァイオリンソナタやベートーヴェンのソナタなど録音しています。
またラフマニノフはクライスラーの愛の悲しみと愛の喜びを
ピアノ独奏用に編曲したほか、コルレリのテーマによる変奏曲を
クライスラーに献呈しました。
一方クライスラーはラフマニノフの歌曲をオブリガードつきで編曲しています。

ヴァイオリンの原曲のほうは、
どちらかといえば朗らかで軽いイメージですが、
ピアノ編曲のほうではいかにもラフマニノフらしい
音の厚みを持って迫ってきます。

軽やかな表現の中にも高速のアルペジオや

半音階のパッセージが飛んで遊んでいるかのように現われ、
弾きこなすのは至難の業。

この曲が持つ喜びの表現、

ラフマニノフのピアノを最大限に生かしたテクニックに
少しでも近づけるように挑戦していきたいです。



2016年2月10日水曜日

Bach-Busoni: "Chaconne"  梅谷初

フェルッチョ・ブゾーニ
「シャコンヌ」について

1866年生まれで、今年が生誕150周年になる作曲家、フェルッチョ・ブゾーニの代表作の一つである、「シャコンヌ」。
ヨ ハン・セバスティアン・バッハが、35歳だった1720年、ケーテン時代に書かれた「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」という曲集の中の パルティータ第二番二短調BWV1004からの5曲目、シャコンヌを下敷きにピアノソロ用に編曲された名曲です。ヴァイオリン一本で、重音など、高度の技 巧を駆使しながら15分近く、主題を30回以上も繰り返し変奏していく大曲であり、ヴァイオリンの重要なレパートリーの一つとしても、広く知られていま す。シャコンヌというのは17世紀頃のスペインを起源とする、三拍子の変則的な舞曲であり、当時のヨーロッパでは、多く作曲されています。
このシャコンヌには、もう一つ、ブラームスが左手のために編曲した、ピアノソロ版があり広く演奏されてきました。
シャコンヌ原曲、ブラームスの左手のためのシャコンヌ、そして、このブゾーニの編曲版を改めて、全て聴きなおしてみるとその作品に内包された魂が浮き彫りにされて、はっきり見えてくるようで、なかなか面白いと思います。

シャコンヌ ブゾーニ/バッハ

https://www.youtube.com/watch?v=NKYyiD8ypCo ルービンシュタイン

シャコンヌ ブラームス/バッハ

シャコンヌ バッハ(ヴァイオリン)

ブゾーニは、イタリア人として生まれ、子供時代は神童として名を馳せました。20歳の時にドイツに移り住んでから、途中、モスクワ、アメリカ、スイス、オーストリアなどに滞在しながらも、人生のほとんどをドイツで過ごしました。ブ ゾーニの作品は死後、長い間、その多くが無視されてきましたが、偉大なヴィルトゥオーゾピアニストとしてや、バッハ作品の編曲者として、また来るべき現代 音楽の理解者として記憶はされており、1980年以降、徐々にブゾーニ作品への興味が蘇り、演奏される機会がも増えて来たようです。
恥ずかしながら、私もほとんど、ブゾーニの作品に触れたことがなく、今年150年の生誕年、偶然この作品を演奏することになったのも、何かの縁かもしれないので、今年はブゾーニの作品を色々聴いてみようと思っています。






Sergej Prokofjev: "Romeo und Julia" 10 Stücke für Klavier 梅谷初

バレエ「ロメオとジュリエット」からの10の小品 op.75
セルゲイ・プロコフィエフ作曲。

  1. フォーク・ダンス
  2. 情景
  3. メヌエット
  4. 少女ジュリエット
  5. 仮面
  6. モンターギュー家とキャピュレット家
  7. 僧ローレンス
  8. マーキュシオ
  9. 百合の花を手にした娘たちの踊り
  10. ロメオとジュリエットの別れ

シェイクスピアの戯曲、「ロミオとジュリエット」に、ロシアの作曲家、セルゲイ・プロコフィエフがバレエ付随音楽として、オーケストラの為に作曲した作品です。

1917年、第一次大戦の真っ只中で
ロシアに革命の嵐が吹き荒れる折、
真剣に亡命を考え、翌年、アメリカへ渡ったプロコフィエフ。
意図していたほどに、作曲家として厚遇を受けることができなかったためか、
1933年には、再び祖国へ舞い戻って来ることになったのです。
この翌々年,1935年、祖国へ戻ってから、初めての大規模な作品が、
バレエ音楽、「ロミオとジュリエット」でした。
当時、スターリンの恐怖政治下にあったソビエトでは
芸術家の監視、作品への言及、
影響を及ぼすことはごく当たり前に行われていたようです。
このためもあってか、プロコフィエフの原案では
なんとジュリエットが最後幕で息を吹き返す、ハッピーエンドだったそう。
振り付けが関係していたというプロコフィエフの自伝で語られていますが
悲劇的な結末を良しとしない、社会主義的な風潮に気を使った、
もしくは口を出されたから、という見方もあります。
最終的には、原作通りのラストシーンで落ち着きました。
1937年にピアノ作品用の組曲として、10曲が抜粋され、
(元のバレエ曲は、4幕、52曲。)同年に作曲者自身がモスクワで初演しました。

今回のピアノソリのコンサートでは、
1,フォークダンス、4,少女ジュリエット、
6,モンタギュー家とキャピュレット家の三曲を演奏する予定です。

「フォークダンス」たくさんの民衆があちこちに散らばり
手に手を取って、陽気に飛び回り踊り跳ねているような
様子が目に浮かんでくるようです。
三音の下降形がくるくると回る様子を思い浮かばせ、
オクターブの跳躍がジャンプに聴こえてきます。
第二幕三場の一曲目で、有名なバルコニーの場面はもう終わっていますから、
話が佳境に入って来て仕切り直した感じの場面かな。

その次に演奏する「少女ジュリエット」
元気発剌で、ぴちぴちの14歳のジュリエット。
若さが弾ける跳ねっ返りぶりで、舞台に登場してくるシーン、
第二幕二場の10曲目。
中間部のモチーフで切なく、しっとりとしたメロディーが
恋への憧れと不安を思わせる美しさで奏でられます。
この時、まだジュリエットはロメオに出会っていないのだけど、
すでに、ときめきと悲劇の予兆があったことを想像させます。

そして、ドラマやCMなどで耳にしたことがある人も多い、
恐らく、この組曲の中で最も有名な、「モンタギュー家とキャピュレット家」
ホ短調の主和音が、単純に重ねられているだけのテーマですが、
とても重厚な響きで展開していきます。
原曲では、弦楽器で奏でられる騎士たちの踊りのテーマに続いて、
ホルンが主旋律になって、決闘のテーマが流れ、
両家の小競り合いが、決闘も交えた乱闘になりかかった様子が描かれます。
続いて、中間部に憂鬱で、か細いフルートの旋律が奏でられますが、
これはジュリエットが、望まぬ婚約者であるパリスと不幸な様子で
踊っている姿が描写されているのです。。。

表情豊かに、生き生きと原作の世界観を
思わせるように、描かれたこれらのヴィルトゥオーゾな
作品。
この世で最もロマンチックかつ、悲劇的なこの名作を
まぶたの裏に独自の演出を思い浮かべて聴いて楽しんで
頂けたらな、と思います。











Maurice Ravel : La Valse, Poème chorégraphique pour orchestre  藤枝有紀子

モーリス・ラヴェル 管弦楽のための舞踏詩『ラ・ヴァルス』
Maurice Ravel :  La Valse,  Poème chorégraphique pour orchestre 

 ラヴェルの晩年の弟子、ローゼンタールによれば
『ラ・ヴァルス』はラヴェルのお気に入りの作品でした。
もともとは、1906 年頃『ヨハン・シュトラウスン2世への
オマージュとしての交響詩風ウィンナーワルツ』として構想。

その後、1914年ごろには、交響詩『ウィーン』という 題名も浮上したものの、
完成には至らず。最終的には、第一次世界大戦への従軍後、
ロシア・バレエ団のプロデューサー、ディアギレフに新曲を依頼された際に 
『ラ・ヴァルス』として作曲されました。

構想から完成までの経緯からしても、
ラヴェルのこの作品への思い入れの強さが伺えます。
完成後、2台ピアノ版を披露したものの、ディアギレフには採用してもらえず、
完全な絶交状態になってしまったようです)

  『ラ・ヴァルス』の管弦楽スコアの冒頭に書かれた短いシナリオ。
そこには『1855年頃の宮廷』とあります。
その頃のウィーンといえば… 1854年に オーストリア帝国の実質的な『最後の皇帝』
フランツ・ヨーゼフ1世とエリザベートが結婚。
シェーンブルン宮殿の『鏡の間』では、
招待客3000人にも及ぶ 祝賀舞踏会が行われたとか。
(ヨハン・シュトラウス2世が 指揮を担当)
そ の後、ウィ—ンの街は大規模な都市改造が施され
『世紀末ウィーン』の時代を迎えますが、
その一方で、オーストリア=ハンガリー二重帝国の混乱や凋落は進 み、
第一次世界大戦の終結した1918年には皇帝が退位。
650年間の長きに渡って、中欧に君臨したハプスブルク家の帝国は崩壊に至りました。

 その少しあと、1919年から1920年にかけて作曲された『ラ・ヴァルス』は、
豪 華絢爛な雰囲気の中にも、倒錯・狂気・不安の存在が見え隠れする幻想的な音楽。
渦巻く雲の中からだんだん浮かび上がってくる、華やかな宮廷舞踏会の世界。
 次々と流れるワルツに心地よく身を委ねていると、
やがて各ワルツが溶解して混ざり合い変容を遂げ、
ぐるぐると旋回して、唐突に終了!
『管弦楽の魔術師』と も呼ばれるラヴェル。
彼の作り出す色彩感をどこまで表現できるか、
今回は 作曲者自身によるピアノ独奏版でお楽しみください。


Schumann-Liszt "Widumung" Schubert-Liszt "Ave Maria" Schubert-Godowsky "Die Forelle" 滝村乃絵子

シューマン/リスト: 献呈
この曲はシューマンの歌曲集『ミルテの花』の中の第1曲《献呈》~君に捧ぐ~をリストがピアノ独奏曲として編曲したものです。シューマンは全26曲から成るこの歌曲集を、結婚式の前夜にミルテの花を添えてクララに贈っています。クララの父、ヴィークの執拗な反対で裁判沙汰にまで発展した結婚でした。その第1曲を飾る《献呈》は、「あなたは私の心、私の命、私の魂、私の全て」というクララへの溢れる愛に彩られた歌詞がつけられ、情熱的に、高らかに歌い上げられます。
リストの編曲ではピアニスティックな煌めきと華やかさが加えられ、原曲とはまた違ったロマンティックで美しい作品に仕上がっています。
ミルテの花は白くて長い雄しべを持つ香りのよいお花です。花嫁の装飾に使われる花で、日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、ウェディング・カードなどのモチーフになっているものもあります。

歌詞 
Du meine Seele, du mein Herz,          きみこそはわが魂よ、わが心よ
Du meine Wonn', o du mein Schmerz,
      きみこそはわが楽しみ、わが苦しみよ、
Du meine Welt, in der ich lebe,
          きみこそはわが生を営む世界よ、       
Mein Himmel du, darein ich schwebe,
      きみこそはわが天翔ける天空よ、   
O du mein Grab, in das hinab
           きみこそはわが心の悶えを
Ich ewig meinen Kummer Gab!
          とこしえに葬ったわが墓穴よ。
Du bist die Ruh, du bist der Frieden,
      きみこそはわが安らぎよ、和みよ、
Du bist vom Himmel mir beschieden.
      きみこそは天から授かったものよ、
Dass du mich liebst, macht mich mir wert,
   きみの愛こそわが価値を悟らせ、
Dein Blick hat mich vor mir verklart,
       きみの眼差しこそわが心をきよめ、
Du hebst mich liebend über mich,
         きみの愛こそわれを高めるものよ、
Mein guter Geist, mein bress'res Ich!
       わが善い霊よ、よりよいわが身よ。 

シューベルト/ リスト: アヴェ・マリア
アヴェ・マリアとして知られる歌曲は19世紀初頭を代表するスコットランドの詩人、ウォルター・スコットの詩物語「湖上の美人」によってシューベルトが書いた7曲の歌曲の一つです。1825年に作曲され、この歌曲を一括した「op.52」の第6曲目として1826年に出版されました。正式の題名は「エレンの歌 第3番」で「湖上の美人」の3日目、「一族の招集」でエレンが父の無事を願いマリアに祈る歌です。アヴェとはラテン語でおめでとう、栄えあれ、といった意味です。湖上の美人<Lady of the lake>はスコットランドの高地(ハイランド)を舞台とした長編物語です。アーサー王伝説の「湖上の貴婦人」になぞらえた美しい娘エレンを中心とした6日間の出来事を描いています。さざなみの伴奏形で飾られた一種天国的な清らかさと美しさを持つメロディーは数ある聖母賛歌の中でも、グノーの作品とともに広く人々に愛されています。華麗なる超絶技巧と派手な演奏スタイルで有名であったフランツ・リストは、当時まだあまりしられていなかった作曲家の作品を編曲し、そうすることで名前が売れた作曲家もいました。その一人がシューベルトです。リストは1835年から1847年の間に50曲以上ものシューベルトの歌曲を編曲しています。       

歌詞
Ave Maria! Jungfrau mild,           アヴェマリア 慈悲深き乙女よ
Erhöre einer Jungfrau Flehen,
         おお 聞き給え 乙女の祈り
Aus diesem Felsen starr und wild
       荒んだ者にも汝は耳を傾け  
Soll mein Gebet zu dir hinwehen.
       絶望の底からも救い給う
Wir schlafen sicher bis zum Morgen,      汝の慈悲の下で安らかに眠らん  
Ob Menschen noch so grausam sind.      世間から見捨てられ罵られようとも
O Jungfrau, sieh der Jungfrau Sorgen,     おお 聞き給え 乙女の祈り
O Mutter, hör ein bittend Kind!Ave Maria!    おお 母よ聞き給え 懇願する子らを


シューベルト/ ゴドフスキー: 鱒
原曲は1817年20歳になるシューベルトが、ドイツの詩人、クリスティアン・フリードリヒ・ダニエル・シューバルトの詩 「ます」に基いて書き上げた作品。第1節では小川に遊ぶマスの姿が描かれ、第2節では釣り人が現れ、このマスを狙います。そして第3節ではついにマスは釣り上げられるのです。どんなにすばしこく泳ぎ回っても釣り人の手を逃れられない哀れなマスの運命が歌われています。詩に描かれたマスと人間の駆け引きに心惹かれたシューベルトが、その光景をドラマチックに表現した作品だったのです。レオポルド・ゴドフスキーはポーランド出身の偉大なピアニスト、作曲家、編曲家。彼は19世紀終わりから20世紀の初頭にかけて最高のピアニストとして同世代のブゾーニに匹敵する存在でした。ヴィルトゥオーゾタイプというよりはデリケートな演奏をするタイプだったと言われています。ピアニストとしてのゴドフスキーは特に重要な師がいるわけではなく、ほとんど独学だったと言われています。ゴドフスキーは12のシューベルトの歌曲を編曲しています。原曲の旋律を保ちつつ、ハーモニーや伴奏形に所々、変化を加えています。

歌詞
In einem Bächlein helle,         澄んだ小川で泳ぎゆぐ鱒(ます)   
Da schoß in froher Eil
          力強く矢のように過ぎていく
Die launische Forelle
Vorüber wie ein Pfeil.

Ich stand an dem Gestade       私は岸辺でくつろぎながら
Und sah in süßer Ruh
          元気な魚を眺めてた       
Des muntern Fischleins Bade
Im klaren Bächlein zu.
Ein Fischer mit der Rute         釣竿かついだ漁師が一人
Wohl an dem Ufer stand,
         魚の動きをじっくり見てる
Und sah's mit kaltem Blute,
Wie sich das Fischlein wand.

So lang dem Wasser Helle,        こんなに澄んでる川の中では
So dacht ich, nicht gebricht,
       針に魚はかかるまい
So fängt er die Forelle
Mit seiner Angel nicht.
Doch endlich ward dem Diebe      しびれを切らした釣り人は
Die Zeit zu lang. Er macht
         小川を掻き混ぜ にごらせた
Das Bächlein tückisch trübe,
Und eh ich es gedacht,

So zuckte seine Rute,            すると釣竿ぴくりと動き
Das Fischlein zappelt dran,
         罠にかかった哀れな鱒は
Und ich mit regem Blute
           釣られて陸で跳ね回る
Sah die Betrogene an.