超絶技巧練習曲は、
1826年に初稿が出版されてから、2度の改訂を経て、
1852年に最終稿が出版されています。
その第一稿の出版に際し、シューマンはこう語っています。
「それは、本物の嵐であり、驚愕の練習曲だ。この世で10人か、12人の
最高の演奏者の為にある練習曲である。下手くそな演奏家はただ、笑いを
誘うだけであろう。ほとんどにおいて、ヴァイオリンにおけるパガニーニ
のようであり、リストは新たにピアノのためにそう置き換えることを目論んでいる。」
練習曲の11番、夕べの調べは、沈みゆく夕陽の壮大な景色を思い起こさせるような、
絵画のような作品です。鐘を思わせるようなアルペッジョの響きで幕を開け、
中間部の"piu
lento con intimo sentimento"における内省的で
美しいメロディーを経て、ホ長調の主和音から一気に、Molto
animato
のクライマックスへなだれ込みます。
「超絶技巧練習曲」の中では、
比較的「演奏可能」なこの曲ですが、
鐘を連想させるアルペッジョや、後半の激しい展開部分など、
テクニック的に難しい部分ももちろん多く出てくるので、
これを、臆せず存分に演奏したいと思っています。
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